2015/08/26

秋の錯覚

Kちゃんが、部屋で歯を磨いていた。
僕は、すこし洗面所に行って
部屋に戻ってみると、Kちゃんがいない。

夏もおわりにさし掛かって、肌さむくなってきた夜
窓があいていて、さっきまでKちゃんがいたうすぐらい部屋は、がらんとしてた。

「Kちゃんがいない。逃げ出しちゃったのかな?」
と少しあわてても、気持ちのどこかで家にはいるのだろうと落ち着いたときに
ふと別な気持ちになった。
「いや、でもいつか、また独りになる日もくるかもしれない。Kちゃんがいたのが、まるで幻のようだったかのように。人生ははかないな」なんて考えてもしまった。

キッチンにいくと、Kちゃんが、歯を磨いていた。

2015/08/23

かっぱ橋デート

塩がしけない入れ物が欲しい、お味噌汁のおわんがイマイチ、とかいうことで
Kちゃんといってきました、日曜日の合羽橋商店街。

2割くらいののお店くらいしかあいていなかったけれども
それでも、二人で見て歩くには十分なお店がありました。

東京に長いことすんでいて、来たのははじめて。
包丁とか、入れ物、台所用品、業務用のおおきな鍋、サンプルの食材とか
つかうところを想像しながら話すから、美術館いくよりも楽しい。

最後に味噌汁用のおわんを買って帰宅。


2015/08/20

木曜日の悩み

きょうは、少し早くかえってみたら、
ようやく吉本ばなな「おとなになるってどんなこと? 」が届いていた。

ひさしぶりに良い本をよんだとがっしり
読んでいると、Kちゃんが私の相手もしてよとばかりに
腕に絡み付いてきたり、足をさすってきたり、
Kちゃんがシャワーを浴びている隙に読み上げたんだけれど。

自分がシャワーを浴びてもどるとメールが一通。
海外での仕事のオファーだったんだけれど、
いくならこれぐらいが最後の歳だよなぁ・・・



2015/08/16

オオサンショウウオの食べ方

少し前に、テレビをつけていたら、オオサンショウウオの話が出てきて、
日本で生きているものを探しにいくのかと思いきや
どうやら中国での料理をみにいく企画だったらしい。

どこか山奥っぽい中華料理屋で、水槽にいたオオサンショウウオ。
60センチくらいはあったように見えた。
その料理ったら、あたまを包丁でぶったたいて気絶させて
そのまま湯煮えたぎる鍋に放り込むという、乱暴なものだった。
しかも、オオサンショウウオは鍋の中で大暴れして、蓋が外れていた。
そのご、姿煮のオオサンショウウオの映像が出てきたんですが・・・

2度くらい、夢に出てきてしまったよ。NHK。。

落ち着いてきた土日

ようやく部屋も居心地が良くなってきて
土日は、ふたりで部屋の中で話しているだけでも楽しい。
寝室でごろごろしながら話したり、ちょっとまどろんだり、
夕方には散歩に出かけた。
にんきのペットショップには、子猫と子犬のニューフェースがきているので
Kちゃんの目が細まってうれしそうだった。

夜になって、ご飯をたべながら、これからの話をしていた。
まだまだ先のことはよくわからない。

ちょうど遠くから夕立がやってくる音がして
ベランダに出していたものなどをいれて
土日終了。

2015/08/11

バレット新婚旅行

「旅行は滞在を楽しむタイプです」なんてKちゃんに自己紹介した僕だけれど
9月に休みが取れることになって、新婚旅行に選んだのは、パリからローマまでの移動の弾丸旅行。

日も限られているし、パリからローマの間にいろいろ見ていくと時間も足りないし
いろいろ、すっ飛ばすことにしても、Kちゃんはまだ不安そうだ。


海の綺麗なところでゆっくりというのもいいけれど、まだ若い二人の新婚旅行だから、
あれこれ見ながら、あーだこーだと、いいながら出かけたいと説得しました。

パリの美術館めぐりはあきらめて、
南仏の村めぐりやら、フィレンツェがはずせないということになってきたので
そろそろ鉄道とホテルの予約する段になってきた。

予定をたてるのもインターネットで調べると
細かいことまでわかってしまって
「パリの地下鉄を降りて、このホテルまであるくの」なんていうのも、
グーグルのストリートビューで見てしまえば、なんとなく雰囲気はわかってしまうし
パリではどこのホテルもシャワーの評判が悪いのも、わかってしまい
わかりすぎて損をした気分にすらなってしまう。

それでも、いろんな名所をしらべたり写真を見たり
すべて回りきるには足りない時間をどのようにアレンジするか考えたり
すでに計画したり相談したりするほうが、旅行より時間がかかっていると思う。

2015/08/04

収納と気まずい雰囲気

引っ越してきて3ヶ月ほど。
「二人とも、モノがおおいのが嫌なのがいっしょだね」なんていってた時もありましたが
二人の荷物をほぼすべて新しい部屋に運び込んだのだから、やっぱりそれなりの量だ。

ものを大切にするKちゃんの思いでの品はどれも、手放したがらないし、
かといってこれ以上のスペースがあるわけでもない。

そのうち要らないものを捨てるだろうと見込んでいたのだけれど
Kちゃんのあかないダンボールが、まだまだ積み上がっていて
さすがにもう無理かなと思って、注文しました。天井まで届くメタルラックを。


猛暑の中、運送屋が荷物を届けてくれて
平日の夜だというのに、ふたりで組みたてた。
棚板は下のほうにはいらない、というKちゃんの意見は地震が心配だから、なだめてすかして
1メートル以上の棚板を5枚はめ、それから柱をつないで天井まで届かせ、耐震ロック。
重たいし、部屋はすこし熱気があるし、すこし手戻りなどもあって
だんだんKちゃんの機嫌が悪くなって、僕はどきどきしていた。
けれど、組みあがってみると、Kちゃんが喜んで荷物を載せ始めた。

小部屋に大きな棚で、圧迫感はあるけれど
脅威の収納力で、いままで散らかっていたのがうそのよう。
まだまだ入るから良かったけれど、
「これでKちゃんは、もう荷物は捨てなくて良くなっちゃったね。」といったら、しばらく間があって
「女はね、荷物おおいの。」ということだそうです。



2015/08/02

すっかり忘れていた。

そうだった。そうだった。
すっかり、大切なことを忘れていたのだけれど
二人ででかけたくても、暑くてどうにもならない日のおかげで思い出した。
Kちゃんの持ってきた電子ピアノ、ずっとおいてあるのに
あわただしくてKちゃんは全然弾いていなかった。

時間もあるのだし、弾いてみたらいいのにと思って
まだ整理のついていないダンボールの中から
楽譜を見つけ出してきて、Kちゃんに渡してみたら
ちょろちょろと弾き始めた。

Kちゃんは、昔はピアノのコンクールに出るくらいピアノを頑張っていたのだから
腕前はすごいのだろう。
僕は、中学生の頃、ピアノが弾きたくて引きたくて、
学校の音楽室でピアノを練習してみたりもしたけど、全然つづかなかった。

Kちゃんが、バッハのインベンションの楽譜を見せてくれて
ちょっとだけ僕も弾いてみた。ドレミファレミド、ソ・・・
Kちゃんが左手をしてくれて、ああ、これ楽しいなぁ。

出かけなくても、楽しいねぇ。